【7】7年くらいセルフコーヒー焙煎してきたまとめ

2018年11月8日木曜日

食べ物

前のブログでコーヒー焙煎について書いた記事3本を現時点までの実践も踏まえてリライト。

この7年ほど、コーヒーを自分で焙煎して飲んでます。

きっかけは大谷さんに教えてもらったこと。
「インスタントよりはドリップ」程度にしか分からなかったぼくでも「今まで飲んだのとぜんぜん違う」と驚くほど美味しかったのを今でも覚えています。

しかも、鉄製のフライパンや中華鍋があれば自宅で、それもお店で(煎られた)豆を買うより断然安くてパックのドリップコーヒーとそれほど変わらない値段でできちゃうの?

ということで早速中華鍋と生豆を(Amazonで)買ってやってみる。からスタートして7年も経ったんですね。

うちは2週間〜1ヶ月に一回ペースで煎ってきたので、ということはもう数百回はセルフ焙煎をしていることになります。

そういえば比良に来てから自宅で焙煎していたらコーヒー好きのお隣さんが興味を持って、やり方など教えてあげたらすっかり定着している模様。たまにコーヒーを煎るいい匂いが道に広がってます。

こんな面白くて美味しいこと、もっといろんな人がしたらいいのに、ということでやり方や原理など紹介。

目次
セルフ焙煎のやり方
 生豆と鉄製鍋を買う 
焙煎するときのポイント
なぜセルフ焙煎が安くてうまいのか。
 日本のコーヒー産業事情
なんだかんだやっぱり



セルフ焙煎のやり方

生豆と鉄製鍋を買う

生豆の種類はそれほど試してませんが、今の所ぼくはここで買うことに落ち着いてます。

フェアトレードショップパルマルシェ
10キロ以上だと卸売価格で送料込みで約1万円。つまり100グラム100円。

フェアトレードをわざわざ選んでる感みたいなのが鼻につきますが、一応日本に自生すらしていない南国の豆を何千キロと離れた場所から買い付けることに対して、全く基にしないということはできないタチで、いろいろ探してみた結果現地の農園からできるだけ直接かうような感覚で注文できる所、ということでここに。(フェアトレードってそういうことを仲介するのが基本的な機能なのかもしれない。)


とにかく、ちょっとお試しで、ということならAmazonで検索するとごろごろ出てきます。こちらのものは店で焙煎されたものが100グラム500円以上はするキリマンジャロがグラム100円となっております。


タンザニア産 AA キリマンジャロ 生豆 コーヒー 豆 珈琲 未焙煎(1kg) [M便 1/1]


鉄鍋はうちではしばらくこれを使ってました。


山田工業所 鉄製 打出片手中華鍋 30cm (板厚1.2mm)

今は譲ってもらった鉄のフライパンのメンテナンスのために焙煎はそちらでしてますが、(ほとんど乾煎り状態で豆の油が鍋につくので、焙煎は鉄製のフライパンの状態を保つのに良いです。中華鍋は揚げ物したりするので油分が不足することが少なかった。)多機能で熱効率もよく、間口が広いので豆をかき混ぜやすいので入門編におすすめです。

2 焙煎するときのポイント

道具さえ揃ってしまえばあとは煎るだけなんですが、実際一人でやろうと思うと、火の強さどのくらい?とか、どのくらい黒くなるまでしたらいいの?というのが分からず不安になります。

最初の3回位やればコツがつかめてくるのですが、一度見てみると分かりやすいのでやってみましょう。

途中煙が出てくるので換気扇を回すのをお忘れなく。

生豆。200グラムの計量カップ2杯〜3杯ほど入れます。

中火で煎ります。迷ったら強めでOK。弱いとハゼが弱くなります。

だんだん色が濃くなってきました。


ちょっと場所変わってますが。。
煙が出てパチパチと豆がはじける(ハゼる)音がします。

好みによりますが、だいたい右四列くらいの感じになったら
火を止めて熱が冷めるまでそのまま置いておきます。
ぼくは浅煎り好きなので左の状態がまざってるくらいのときも。
ただし、浅煎りしすぎると豆が硬いので手挽きの場合は苦戦します。
煎りむらは気にしなくて大丈夫です。理由は後ほど。

お疲れ様でした。冷めたらタッパなどに入れて冷凍庫で保管しておくと風味が長持ちします。大体2週間程度で飲みきれる量をつくると、味の劣化が気になりません。豆のハンドピック、煎っているときの皮について、気になる方は下記※1を御覧ください。基本はそのまま生豆を鍋に入れて、皮もそのままで大丈夫です。

煎りむら(逝った豆の色がばらばらになる)は鍋でやると必ずできるんですが、プロのコーヒーショップでも煎り具合の違う豆を混ぜて味に深みをもたせたりするので、全く問題ありません。

後述するように、コーヒーの美味しさはほぼ焙煎した豆の酸化度合いで決まるため、煎ったばかりの豆、という時点で市場に出回っているほとんどのコーヒーに大幅な差をつけて美味しくなります。

かなわないな、と思うのは豆の種類から豆にあった煎り具合やドリップの最適温度まで徹底的に試し、焙煎専用機を使ってピシッと焙煎の深さが決まったコーヒーを出すようなお店。ってもう、ここまで自分でやるとなると日常的にできる範囲を超えてるし、そういうのが飲みたい場合はお店に行って飲むことにしてます。※2

(そういうお店自体あまりなくて、見つけるのも難しいですが、たまたまうちの近くでそんなお店がありました。お近くに来られたときにはぜひ。「高島ワニカフェ」)


なぜセルフ焙煎が安くてうまいのか。

コーヒー豆は生豆の状態で置いてても品質に変化はほとんどないですが、一度煎ってしまうとその瞬間から酸化が始まり、味はどんど劣化していきます。これを止める方法はなくて、唯一劣化を遅らせるのが冷やすこと。なので保存は冷凍庫がベストです。※3

だから、ここで紹介した方法は酸化していない、本来のコーヒーの味を味わう方法、とも言えるんですが、なんでそれが劇的に美味しいとおもってるんでしょうか??不思議です。

日本のコーヒー産業事情

ぶっちゃけていうとコーヒーって、ものすごく利益率が高いので、お店にとってまさにおいしい商品です。味にこだわらなければ、焙煎した豆でも腐らないから大量の生豆を一気に焙煎すればたぶん100グラム数十円程度、いやもっとかなというくらいの原価になります。

それを一杯(=10グラム程度)、コンビニで100円、お店なら270円〜500円くらいで売るんだから、利益率9割超えの超優良商品。

けれど、コンビニなんかは豆が直接見えますが、ほとんどのコーヒーチェーンの豆も煎ったものを常温で保存してるので、数日あるいは温度や日光の当たり具合では一日経てばかなり劣化してしまいます。焙煎したての豆を冷凍庫に入れても1月経てば風味が落ちるのだから、よく日の当たるコンビニのコーヒーマシーンなんかはほとんど酸化完了してるんじゃないでしょうか。※4

ぼくも含めほとんどの人は、そういうコーヒーが普通で当たり前だと思っているから、焙煎したてのコーヒーを飲むとびっくりするほど美味しいわけです。

なんだかんだやっぱり

とまあ7年もコーヒーの焙煎をしていると、そのときどきで考えたり思うことがあって、まとめていろいろ書いていますが、何よりもシンプルに美味しいコーヒーを手作りして飲む暮らしって、なかなかいいもんだなと思ってて、楽しいです。

煎るたびにちょっとずつ味が違うから、「今回のめちゃくちゃおいしいねー」とか「寒くなったからちょっと浅煎りにしてみようか」とか「浅煎りにしすぎて豆挽くのが大変ー」
とか言いながら飲んでます。

ぜひご自宅でもお試しあれ。




※1
「焙煎前のハンドピックは必要なのか?」
一般的に、焙煎前には欠けや割れのある豆を取り除く。が、どのくらいまずいのか確かめたくて、取り除いた豆だけを集めて焙煎したら普通の豆と味は変わらなかった。なので、今はハンドピックをしないで煎っています。 


「焙煎中に出る豆の皮はどうしたらいいか?」
焙煎中に息を吹きかけて皮を飛ばしながらしたことがありますが、台所が吹き飛んだ皮だらけになりました。皮を飛ばした方がスッキリしたような気持ちになりますが、味は劇的には変わらなかったです。さらに豆の皮だけを集めてドリップしたら甘かった、という話を聞いてから、皮は飛ばさずに煎るようになりました。



※2
それでもどうしても自分で焙煎のむらをなくした豆を煎りたいという場合はこういうの。



でやるといいのですが、少量ずつしかできないという欠点があって、数日しか持ちません。数日ごとに煎るというのはやっぱり日常に取り入れるのには難しく、労力に対して味の違いもちょっとしか変わらない。ということで、採用には至ってません。


※3
以前のブログ記事を修正して補足。
以前、大前研一さん(もう60をとうに超えてるけど世界的に有名なコンサルタント)が、コーヒーチェーン店の相談に乗っただか、事例を紹介するときに「コーヒーは水によって味が変わるので、よい水を使うようにして、評判がよくなった」というような話をしていました。

そのときは「そういうものか」と思って聞いていましたが、今となれば「安価に大量のコーヒーをつくる場合」という前提があったうえでの発言だったのだと思います。

けれど、(個人で安くてうまいコーヒーを飲みたい場合に)本当に劇的に味が変わるのは、豆の鮮度です。特に煎ってからどのくらいの時間が経っているか、がポイントなんだけど、それにはものすごく手間がかかります。なので、各店舗に焙煎機を置いたり、豆を挽くのは、技術も手間もかかる=人件費がかさむ、ので、選択肢は”煎って挽かれた豆”の一つに絞られていきます。
  
ぼくもいろいろ試しましたが、”煎って挽かれた豆”の場合、たしかに高くても安くても、
そこまで劇的な味の違いは起こりません。その前提なら、残されるのは”水”しかない。というわけです。

ところが、(個人が)本当においしいコーヒーを飲みたい場合には、水ではなく、豆について手間をかける方が合理的です。考えてみれば、コーヒーとは、”煎った豆を砕いたものに、お湯をかけて成分を液体に抽出したもの”なんだから、抽出する水の質より、抽出される豆の質がポイントになって当然な気もします。

で、 豆で重要なのは”煎ってからどのくらい時間が経ってるか”が大きいです。

・煎ってから時間が経ってる
・ミルしてから時間が経ってる
・淹れてから時間が経ってる

いずれの段階でも、酸化していく=雑味が増えるのですが、(個人で)安くておいしいコーヒーをつくる場合の基本姿勢は”雑味をいかに減らすか”に尽きるので、「生豆を買って保存しておき、飲みたい分だけ、じぶんでローストして、ミルして、飲む」というのが、もっとも合理的な飲み方になります。

※4
こちらも以前のブログ記事から修正。
ちなみに、ファーストフード店で飲むコーヒーが妙に酸っぱかったり、苦かったりするのは、コーヒーの味ではなくて、酸化している度合いが高いからです。(でも店によって妙にコーヒーが美味しいマクドナルドがあったりするんですが、それは回転が早いので、豆や淹れてからの時間経過が少ないからではないか、と推測してます。外出時、少しでもおいしいコーヒーを飲みたくなったら、スタバより断然マクドをおすすめします。)

本当に”酸味のある”コーヒーは、酸っぱくて苦いんじゃなく、すっきりしててほんのり酸っぱい感じの味がします。 

以上のことを人にしてもらう場合、けっこう手間がかかるので、当然値段は高くなります。さらに、お店だと場所代が入るので、手間がかかってなくても高かったりします。
ホテルのロビーで一杯千円くらいするコーヒーでも手間をかけてないところ(まずいなーと思うところ)もありました。そういうときは、とても損した気分になります。